恋に負けるとき
「え?
渋谷くん?」
気づいた田所さんの顔が焦ってる。
「な、なに?」
戸惑った表情の田所さんに
それでも俺は、やめる気なくて
「もう力づくしかねえかなって思って」
伏せた目で田所さんを見つめる
だって、すっげえ好きで。
好きで、
君しかみえてないのに
田所さんが手に入るなら
なんだってするよ。
俺を好きだって言ってよ。
ゆっくり近づいて
田所さんの柔らかそうな唇に
触れたくて
キミを手に入れたくて。
吐息が届きそうな距離で
呼吸で上下する胸元と
赤くなった白い肌
それに
田所さんの目を見つめる。
田所さんは…
潤んだ瞳で
泣き出しそうな表情で
俺を見ていた。