続・闇色のシンデレラ
しかも吐き気だけが本当にひどい。



「うぅ……また来た……」



その吐き気の主な要因がこれ。


窓からふわっと漂う、本家の厨房の炊事の匂いを『臭い』として受け取るようになってしまったこと。


本家の離れを2人で利用させてもらってるものだから、においが必然的に流れてくるのだ。


妊婦はにおいに敏感になって、嗅覚が変わることがあるらしい。


それに見事に当てはまったわたしは、炊事のにおい、特に油っこい臭いに過敏に反応してしまうようになった。




……こんなときは志勇のにおいを嗅いだら落ち着く。


変態みたいで本人には言えないと思いながら、志勇の衣類を探してふらふら脱衣所に。


確か、寝巻きをまだ洗ってなかったはず。


こんな風に、わたしは家事にも手を付けられなくなってしまっていた。


行き着いた脱衣所でお目当てのものを見つけ、次に目についたのは体重計。


ちょっと計ってみようと乗ってみたところ───



「2kgも痩せてる……」



太らないといけないはずの体はすっかりやつれてしまっていた。


確か、つわりがひどくて1週間で3kg痩せたら病院に来るようにって言われてたっけ。



「病院、行かなきゃ」



だけど今日は行ける気がしないから、明日の予約を取って、気持ち悪さを抑えるためにベッドに潜り込んだ。
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