続・闇色のシンデレラ
……なんて、まったく俺らしくない思考が巡る。

こんな考えはもうやめよう。

何のために自ら理叶の側近になったんだ。

何のために俺はここにいるんだ。

今回は理叶の命令により、壱華のボディガードをすることが役割なんだ。そこに感情はいらない。



「……」



ところが、ふと鏡の中で目が合ってしまい、気まずさを感じた俺は外を眺めるふりをして目をそらす。

この態度は壱華にとって「逃げ」に見えるんだろうか。きっとそうだろう。



「ハァ……」



自分の起こした問題も未だに解決できないなんて。

足枷(あしかせ)になっている原因は分かっている。

それでも対処できない自分に反吐が出る。

早く、早く行動しなければ。まずは壱華の目を見て拒否されないか確かめるんだ。

もう一度目を合わせよう。そう思い、何度も首をミラーの方にひねろうとしたけれど、俺は行動には移さなかった。

大きな罪悪感とほんの少しの恐怖心が俺の襟首を強く掴んでいた。

そうこうしているうちに、車は目的地にたどり着いた。
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