続・闇色のシンデレラ
SIDE 壱華



ケーキを5つほど買って、ひとつは別の箱に入れてもらった。

中に入っているのはガトーショコラ。光冴に渡すものだ。

それをわたしは手に持って、残りの4つは凛太郎に持ってもらうことにした。



「光冴」



それを渡す人に向けてそっと呼びかける。

光冴は窓から遠くを見つめていたけれど、わたしの呼びかけにすぐ反応した。



「ちょっと疲れたから、どこか休みたいんだけど、いいかな。
近くに景色が綺麗な公園があるんだ」



休みたいというと、彼は「分かった」とだけ言い、車の場所まで無言で付き添う。

車に乗り込み彼はドライバーに「近くの公園までお願いしていいですか?」と丁寧な口調で指示をした。

すぐに車は動き出し、目的地へと向かう。

車の中は静かだけど、私の心はどこか穏やかではいられなかった。
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