続・闇色のシンデレラ
「だからこそ、壱華ちゃんの本当の過去を知って……どれだけ、どれだけ後悔した事か……」



悔恨の表情を浮かべる光冴。

今となっては、彼のことを咎めるつもりはない。

わたしはただ、強く拳を握りしめる光冴の姿を、心のどこかで遠巻きに見つめていた。



「謝って解決する問題じゃないとは分かってる。
俺は理叶とは違う。壱華ちゃんにに直接手を上げたんだから。
強烈なトラウマを植え付けたのは俺だ。
それでも……」



それでもと言ってしばらく口をつぐんだ光冴は、ついに心の内を暴露する。




「それでも俺は、君を守りたい」




言いきった言葉にはいろいろな感情がまぜこぜになって、それでも前を向くしかなくて、苦し紛れに発したみたいだった。

わたしは心を鷲掴みにされたような感覚に陥った。



「一方的な想いでもいい。君に頼られなくても、俺は君を守る。
影で壱華ちゃんの幸せを見守りたい。
それを許可してくれるなら、俺は今後君に関わるような真似はしない。
だから──」

「だめよ、許さない」



わたしは懸命に言葉をつなぐ彼の声を遮った。

ふと、彼が考えるであろう今後のシナリオが過ぎってしまったから。
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