続・闇色のシンデレラ
「刹那がね、剛を池におとしたの!
昨日からひどいんだよ、ママこまらせてばっかりで!」

「へえ、俺がいない間にそんなことしてたのか刹那。悪い子だな」



すかさず近寄って報告してくれた絆の頭を撫でて刹那と向き合う志勇。



「おとしてないもん、つよしがかってにおちたんだもん」

「刹那、なんでウソつくの?」



挙句の果てに嘘をついて誤魔化そうとする刹那。

息をするように嘘をつくあの姉妹を思い出して、暗い気持ちになった。



「毎日毎日、もう嫌……」



生まれ持った性格とはいえ、幼少期の人格形成には親の影響が大きく関わると知ってる。

刹那がこうなったのは全部わたしのせいなの?

うまくいかない子育てに涙が込み上げてきた。

思わず弱音を吐いたその時、信じられないことが起こった。



「えっ、あ……いやぁぁ!ヤダ、ヤダァ!」



志勇が刹那の襟首を掴んで持ち上げたかと思うと、次の瞬間暴れる刹那を池の中に投げ落とした。

バッシャーン、大きな音を立てて池に落ちた刹那は全身ずぶ濡れ。

幸い浅い池だったからよかったけど、大好きな父親にそんなことをされて刹那は驚いて呆然としていた。

志勇は池のヘリに立ち、刹那にゆっくり言い聞かせた。



「壱華を困らせるな」

「……」

「返事は?」

「んぐっ、うぇ……あい」



徐々に自分の置かれた立場に気がついて、泣き出してしまった刹那。

志勇は手を貸すこともなくその場を去った。
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