続・闇色のシンデレラ
「じゃあ母さん、いってくる」



現れたのは長男の絆。

スーツ姿の絆はジャケットを片手にわざわざ挨拶に来てくれたらしい。

それにしても、志勇と見間違うくらい背が伸びたな。



「あら、もう行くの?ゆっくりして言っていいのに」

「いいよ、仕事たまってるから。
それにあんまり長居してたら刹那にウザ絡みされそうだし」

「ケッ!まだまだガキのくせに大人ぶってんじゃねえよ、うっざ!」

「お前に言われくはねえわクソガキ」



弟と口喧嘩をする絆を見て、まだまだ子どもだなと安堵する。

だけどこの子はつい先日──荒瀬組の若頭に襲名した。

まだ18歳なのに、とは思うけど絆が決めたことだから反対はしなかった。

今日はたまたま本家に用事があったから泊まっていったけど、普段は都内のタワーマンションにひとりで暮らししている。

あんなに可愛くて素直だった絆がどんどん大人になって、母親としてはすごくさみしい。
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