エレベーター
☆☆☆

それから放課後になるまで、あたしたち4人はできるだけエレベーターの情報を集めることにした。


クラスメートたちにエレベーターの噂を何か知らないか聞き、昼休憩になると再び2年生の教室まで言った。


「どうしてそんなにエレベーターの話が聞きたいの?」


真紀恵先輩が飽きれた表情で聞いてくる。


「いえ、好奇心からです」


「本当に? もしかしてなにかに巻き込まれてたりする?」


真紀恵先輩の言葉にあたしは一瞬目を見開いた。


「なにかって、なんですか?」


「さぁ、あたしにはわかんないけど。そんな気がしただけ」


真紀恵先輩はそう言うと肩をすくめた。


結局今日も、有力な手掛かりはつかめないまま放課後が来ていた。


「これからどうするの?」


鞄を肩にかけ、あたしは幸生に聞いた。


「とりあえず、誰もいなくなるまで教室に残る」


「でも、その前にあたしが別の世界に飛ぶかもしれない」
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