エレベーター
「幸生、大丈夫かな……」


一穂が不安そうな声をあげた時だった。


一穂のスマホに幸生からの電話が入ったのだ。


「で、電話っ!」


慌てて電話に出る一穂。


「幸生大丈夫?」


ビデオ通話の向こうにいる幸生はなにか慌てているように見えて、あたしは眉を寄せた。


『今のところ大丈夫だ。でもちょっと……やばいかもしれない』


幸生の息は上がっている。


廊下を走ってるようで、壁のシミが映っていた。


「今どこにいるの? やばいってどうして?」


一穂の声も焦り始める。
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