エレベーター
『さっきからエレベーターのボタンを押したり、扉を開こうとしたりしてたんだけど、なにも反応はなかったんだ。やっぱり美知佳が選ばれた人で、俺じゃダメなんだって思ってた。でも……』


幸生が廊下の途中で立ちどまり、画面上にその様子を映しだした。


すぐに違和感に気が付いた。


校舎の中からは生徒の話声が聞こえてきているのに、画面の中には誰1人としていないのだ。


ゾクリと背中に虫唾が走った。


無数の虫たちがあたしの肌の上を縦横無尽に這い回っているような不快感。
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