エレベーター
☆☆☆

ふと目を開けると、じっとりとした空気が足元に絡み付いて来ていた。


窓から差し込むオレンジ色の太陽を見て、あたしはゆるゆると息を吐き出す。


また、だ……。


自分の服装を確認すると、制服姿になっていることがわかった。


スカートのポケットにはスマホ。


今日は休日だったから、あたしは自宅にいたはずだ。


もちろん、今日は制服に袖を通してはいない。


周囲を確認してみると、ここが学校の1階だということがすぐにわかった。


校舎内には誰の姿もなく、すぐそばには昇降口が見えている。


けれどそれよりも手前にエレベーターの扉があった。


あたしは咄嗟にスマホを取り出し、充弘にビデオ通話を繋げていた。


『またか?』


映像を見た充弘がすぐにそう聞いて来た。
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