エレベーター
こんなに狭い密室で捕まえられたらもう逃げ道はない。


一瞬にして血まみれの幸生の姿を思い出していた。


あたしはあれと同じようにされるんだろうか?


それとも、影と同じ世界へ引きずり込まれてしまうんだろうか?


様々な恐怖が一瞬にして脳裏をかけて抜けて行った。


しかし、エレベーターはそんなあたしをあざ笑うかのように上昇し、そして3階で停止した。


扉が左右に開かれるその瞬間……。


「たすけて」


あたしの耳に、確かに女性のそんな声が聞こえてきていたのだった。
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