エレベーター
「知らないの? 咲子ちゃんのファンクラブの人たちだよ」


なんでもないようにそう言った英子にあたしは目を見開き、それこそ発作を起こしそうになってしまった。


「ファンクラブ……?」


初耳だった。


しかも、あたしのファンクラブとはいったいなんのことだろう?


瞬きを繰り返していたとき、ちょうど廊下に数人の男子の先輩がやってきたところだった。


話し声に視線を向けると、バチリと音が聞こえてくるほど視線がぶつかる。


その瞬間、相手は真っ赤な顔になってしまったのだ。


「ほら、あの人たちが咲子ちゃんのファンクラブの人だよ。会員はもっとたくさんいる」


英子は先輩の反応を見て楽し気な笑い声を上げて言った。


「そのファンクラブってなに?」


「咲子ちゃんが学校に来てない間にできたんだよ。病弱ではかなげな美人がいるぞーって!」


英子の言葉にあたしはメマイを起こしてしまいそうだった。


まさかそんなことになっているなんて思っていなかった。


あたしなんてただ病気がちな女子高生というだけなのに……。
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