エレベーター
久しぶりの登校ということで、ファンクラブを名乗る人たちにもその噂が広まり、旧家時間の度に沢山の生徒たちがあたしを見に来た。


「なんか疲れちゃった」


放課後になると同時にあたしは英子へ向けてそう言い、深くため息を吐きだした。


「大丈夫? 先輩たちは熱狂的だからねぇ」


学校内に他に娯楽がないからに決まっている。


あたしはそう決めつけ、仏頂面で立ち上がった。


あたしは見世物ではないし、あれだけの男子たちに好奇の目を向けられたら、多少なり不愉快さを感じずにはいられない。


「英子、帰るよ」


あたしは友人に声をかけ、廊下で待っているファンクラブの男子たちの間をすり抜けて歩き出したのだった。
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