エレベーター
赤信号
あたしと光弘が頭を下げて懇願すると、咲子さんのお母さんは諦めたように前原の名刺を渡してくれた。
フルネームは前原正平(マエバラ ショウヘイ)と言い、咲子さんの1つ上みたいだ。
住所もここからそう離れてはいない。
しかし、周囲はすでに真っ暗で空には星が輝き始めていた。
「美知佳、今日のところは一旦帰ろう」
バス停まで来て充弘にそう言われても、あたしは簡単に頷くことができなかった。
せっかく手がかりをつかんだのに、このまま帰るなんてもったいない。
なにより、明日も同じことが起こるとわかっているのに、それに対しての対策はなにもできていなかった。
帰るか行くか。
決める事ができなくて立ち尽くしていた時、不意に一穂の体がグラリと揺れた。
驚いて両手を差し伸べて支えると電灯で照らされた一穂の顔はひどく青ざめている。
「一穂大丈夫!?」
「大丈夫……。ちょっと、疲れてるだけ」
一穂はそう答えるものの、自分の体重を支えていることも難しそうだ。
「一穂のためにも今日は早く帰ろう」
そう言われると、あたしは何も反論できなくなるのだった。
フルネームは前原正平(マエバラ ショウヘイ)と言い、咲子さんの1つ上みたいだ。
住所もここからそう離れてはいない。
しかし、周囲はすでに真っ暗で空には星が輝き始めていた。
「美知佳、今日のところは一旦帰ろう」
バス停まで来て充弘にそう言われても、あたしは簡単に頷くことができなかった。
せっかく手がかりをつかんだのに、このまま帰るなんてもったいない。
なにより、明日も同じことが起こるとわかっているのに、それに対しての対策はなにもできていなかった。
帰るか行くか。
決める事ができなくて立ち尽くしていた時、不意に一穂の体がグラリと揺れた。
驚いて両手を差し伸べて支えると電灯で照らされた一穂の顔はひどく青ざめている。
「一穂大丈夫!?」
「大丈夫……。ちょっと、疲れてるだけ」
一穂はそう答えるものの、自分の体重を支えていることも難しそうだ。
「一穂のためにも今日は早く帰ろう」
そう言われると、あたしは何も反論できなくなるのだった。