エレベーター
どうしてここまで冷気に包まれるのかわからない。


混乱と恐怖で強く目を閉じてしまいそうになった瞬間、影に色がついたのだ。


今まで影だった体は女子生徒の制服姿になり、影だった体は白い肌に変化する。


そして顔も……。


青白い女性の顔。


真っ青な唇に口の端からブクブクと泡を吐き出している。


目は飛びださんばかりに見開かれ、充血した瞳がこちらをキツク睨み付けている。


「あ……あ……」


あたしは左右に首を振り、イヤイヤと駄々をこねる子供のような仕草をしていた。
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