エレベーター
今日は部活動もあって、生徒たちも沢山残っていることだろう。


そんな中で肝試しをしたって、さすがに怖くはない。


そう思った時だった。


スカートのポケットに入れていたスマホが震えた。


取り出して確認してみると、それは今目の前にいる一穂からのメッセージだった。


《一穂:肝試し、いいかも!》


《美知佳:どういうこと?》


《一穂:幸生と近づくチャンスってこと!》


そのメッセージにあたしはすぐにスマホ画面を隠した。


なるほど。


一穂は幸生と急接近したいのだ。


そのために肝試しとはうってつけだった。


怖くなくても、怖いふりをして近づけばいいのだから。


「肝試し、やってみてもいいかもね?」


あたしは一穂と目配せをして言った。


「まじかよ。今日の放課後?」


充弘はまだ渋い顔をしている。


「そうだよ。もしかしたら、昨日と同じことが起こるかもしれないじゃん」


それに、あたしも充弘と近づくチャンスになる。


できれば充弘にも参加してほしかった。
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