エレベーター
なにが起こったか分からず、頭の中が真っ白になる。


少しずつ冷静さを取り戻して周囲を確認してみると、階段がすぐ目の前にあることがわかった。


「ご、ごめん!」


あたしはすぐに充弘から離れて謝った。


体が熱を持っているように熱い。


きっと今、あたしの顔は真っ赤に染まっていることだろう。


「なにぼーっとしてんだよ。危うく階段から落ちるところだったぞ」


充弘が怒った口調で言う。


しかし、充弘の手はあたしの手をきつく握りしめていた。


まるで、まだ階段から落ちるのを心配しているかのようだ。
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