エレベーター
それとも、外から誰かが操作してくれたのだろうか。


エレベーターに乗ってしまったあたしのために、3人が先生に報告したのかもしれない。


そんな淡い期待が膨らんで来た時だった。


不意に電気が点滅し始めたのだ。


「え、なに!?」


元々薄暗い箱の中は何度も何度も点滅を繰り返し、闇を深めて行っているかのように感じられた。


あたしは恐怖で声がひきつり、喉がヒリヒリと痛んだ。


でも、そんなことも気にならない。


突然始まった点滅の合間に一瞬だけ人影を見た気がしたのだ。


あたしは悲鳴さえ上げられずに狭い箱の中を凝視した。


あたし以外の誰かがここにいる……?
< 62 / 221 >

この作品をシェア

pagetop