エレベーター
☆☆☆

あたしは悲鳴を上げたのか、それとも意識を失ったのか、自分でもよくわからなかった。


ただ、吸って吐いて吸って吐いてを繰り返す誰かの呼吸に戦慄し、頭の中は真っ白になった。


スマホから3人の声が聞こえて来ても反応することができないまま、気がついたらエレベーターの扉は開いていたのだ。


エレベーターは3階に到着し、夕方の太陽光を招き入れていた。


「美知佳!!」


かけつけた充弘があたしの体を持ち上げ、箱の中から出す。


そのあたりの記憶がひどく曖昧になっていた。


「落ち着いた?」


一穂にそう声をかけられて我に返ると、あたしはB組の自分の席に座っていた。


きっと充弘がここまで運んでくれたのだろう。


「ごめんな。保健室に行こうと思ったんだけど、昨日のことがあるから……」


充弘はそう言って目を伏せた。


昨日怒られたばかりだから、行くことができなかったんだろう。


同じ説明をしたところで不審がられるだけだ。


「ううん。大丈夫」


あたしはまだ夢見心地でそう返事をした。
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