エレベーター
昇降口まであと少し……!


手を伸ばせば届きそうだった。


外の光が見えていた。


それなのに……。


グィーン……。



チンッ。


その音が、あたしの後方で聞こえて来た。


それでもあたしは足を止めなかった。


一歩でも外へ出れば解放される。


そう信じて足を動かしていた。


が……。


突然足を取られてその場に転倒してしまった。


咄嗟に顔を手で庇い、ヒドイ痛みが全身に駆け抜ける。
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