春学恋愛部
「男にキレイって言って、喜ぶかよ。新聞部なら、もうちょいインタビュー能力必要なんじゃねぇの?」

柚果の胸にグサリと刺さるような言葉を平気で発する、端正な顔。

うぅ、おっしゃる通り……。
あぁ、とにかく、告白のことはうやむやになったし、さっさと取材終わらせて帰ろう。

声が少し上擦ったが、柚果は心の動揺を隠して、取材に集中することにする。

「えーっと…それで、好きな女の子はいますか?」

低い笑い声を漏らしながら、海斗は三日月になった目を柚果に向ける。

「それって、お前が聞きたいの?
もちろん新聞部としてだよな?」

意地悪な発言に、柚果は「りょ、両方……」と素直に答える。海斗の声は耳に心地よくて、からかわれているのさえ喜んでしまう。

「ふーん…。彼女がいないっつってんのに、いるわけないじゃん」

いない?これはチャンス?
でも裏を返せば、好きな子ができたら彼女にする自信があるってことか……。

大胆不適な発言に、柚果はたじろぎ、
やっぱり私の手の届く人じゃないってことか、と早々と諦めることにした。

「ありがとうございました!」

柚果は、大きく頭を下げて踵を返す。鈴花もついていこうと、とりあえず海斗に会釈する。

「待てよ」
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