春学恋愛部
今までずっと気になっていたけれど何度もはぐらかされてきた話に、柚果は慌てて起き上がってソファに座りなおす。
「う、うん」俯いたまま淡々と話す海斗は感情を押し殺しているようで、柚果は口を挟まずに耳を傾ける。
「華から聞いたんだろ。きっかけは華の母親と俺の親父が結婚することになったからだった。でも本当は俺、それより前からずっと、親父から逃げたかったんだ。
親父はいつも一番でいろ、立派な医者になれってそればっかりで、俺はずっとプレッシャーに感じてた。
そのくせ親父に反論もできなければ、自分から向き合うこともなかった。
お前に華から逃げてるって言われてから思ったんだ。俺は親父からも華からも逃げてたんだなって。でも……これ以上お前に格好悪いとこばっか見せられねぇし、親父とちゃんと話したいと思うんだ。
一緒に、来てほしい……」
珍しく声のトーンが低く、聞き取れないくらいに小さくなる海斗。
父親にうんざりしながらも、期待を裏切ることを恐れて勉強し続けてきた。
自信過剰に振る舞って、何でも一番になろうとしてきた自分。
一人暮らしを始めて自由になった気がしても心の穴は埋められなくて、いろんな女の子に手を出すことで紛らわしてきた。
柚果に出会って、初めてそんな自分と向き合えた。
「う、うん」俯いたまま淡々と話す海斗は感情を押し殺しているようで、柚果は口を挟まずに耳を傾ける。
「華から聞いたんだろ。きっかけは華の母親と俺の親父が結婚することになったからだった。でも本当は俺、それより前からずっと、親父から逃げたかったんだ。
親父はいつも一番でいろ、立派な医者になれってそればっかりで、俺はずっとプレッシャーに感じてた。
そのくせ親父に反論もできなければ、自分から向き合うこともなかった。
お前に華から逃げてるって言われてから思ったんだ。俺は親父からも華からも逃げてたんだなって。でも……これ以上お前に格好悪いとこばっか見せられねぇし、親父とちゃんと話したいと思うんだ。
一緒に、来てほしい……」
珍しく声のトーンが低く、聞き取れないくらいに小さくなる海斗。
父親にうんざりしながらも、期待を裏切ることを恐れて勉強し続けてきた。
自信過剰に振る舞って、何でも一番になろうとしてきた自分。
一人暮らしを始めて自由になった気がしても心の穴は埋められなくて、いろんな女の子に手を出すことで紛らわしてきた。
柚果に出会って、初めてそんな自分と向き合えた。