春学恋愛部
背中に突きささる海斗の一言に、柚果は足を止めた。

ひぇ、まだ何か言われる…?と身構えるが、海斗の口から飛び出してきたのは、予想外の言葉だった。

「付き合ってもいいけど」

え…?えぇ!?

状況が把握できずに固まる柚果を、一歩離れて、好奇心の塊のような目で鈴花が眺めている。

「俺に、二回言わせんのか?」と、不機嫌になりそうな海斗に、慌てて柚果が反応する。

「ぜひっ!よろしくお願いします!!」

柚果は海斗の手を、両手で握ってペコペコ頭を下げはじめた。

「お前は政治家か、じゃあ、Line」

銀の鍵のストラップつきスマホを、
ふるふるする海斗。

柚果もふるふる。

「一生大切にします!」


「ぷっ…何を?Line?それとも、俺?」

「りょ、両方…」

「変な奴」

変なことを口走ってしまったと耳まで真っ赤に染まって、柚果は俯く。

キーンコーンカーンコーン
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