春学恋愛部
クリスマスパーティの後、華と拓馬は華の母親とカフェで話をした。
硬い雰囲気ではなく和やかな様子で、拓馬に興味津々といった母親は華によく似た猫目をきょろきょろさせてよく笑っていた。

そして最後には「拓馬君、華をよろしくね」と言ってくれた。

それでも「僕もう、ぐったりだよ……」拓馬が呟く。
二人とも私服に着替えて、ビルの上の観覧車に揺られていた。

受験生の華は本当はこんなことをしている場合ではないのだろうけれど、今日だけは、と拓馬を誘ったのは彼女の方だった。

「高校最後のクリスマスイブは、絶対拓馬くんと過ごしたかったんだ」
ドレスに合わせて少し濃いめのメイクをした華に可愛いことを言われて、拓馬の鼓動は早くなるばかりだ。

「僕も……華ちゃんと一緒に過ごしたかったよ。
僕の方がきっと……」

後半のか細い声は華には届かなかったけれど、拓馬は意を決して立ち上がった。
あまりに勢いよく立ち上がったものだから、向かいに座っている華の方に数歩よろける。
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