春学恋愛部
「どっち?」

二股の分かれ道に出る。左に行くと駅、右が河川敷だ。

「右です。先輩もそうですよね?」

「何で知ってんの?」

「あの、見かけたことがあるんで」

「ふーん。ストーカーみてぇ」

海原先輩って、話し方、ぶっきらぼうで面倒くさそう。いつもこうなのかなぁ?
そう思いながらも、声が面白がっているように思えて、柚果の緊張が少しほぐれる。

「違いますよ~」

少しくだけた雰囲気になり、柚果は犬を飼っていることや、友達のことを話し出す。

海斗は、あまり喋らずに相づちを打つだけで、相変わらず、足は速い。
柚果は遅れないように早足で着いていく。

振り返りもせず、海斗は階段を下り河原まで降りていき、ベンチに腰かけた。

いつも上から見ているだけだった柚果は、夕日のオレンジに溶けていく海斗を追いかけて、隣に座った。
< 17 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop