春学恋愛部
こっちを向いてよ
刷りたてのインクの匂いがする新聞が、皆の手に配られる。

「わぁ～、イケメンランキング、1位は海原先輩だってー。納得。
ねぇ、柚果、海原先輩と付き合ってるって本当？」

「うん、一応ね…」

「えー、うらやましい！いいなぁ」

聞きたいことだけ聞いて、クラスメートは仲の良い友達の所に走っていく。

「先輩ってデブ専なのかなぁ？
あたしも太ったら付き合えるかもー」

わざと柚果に聞こえるような大声で友達と話す様子を、横目で見ながら彼女は考えていた。

最近よく上級生に「デブ」とか、「ブス」とか通りすがりに言われる。やっぱり海斗は、皆が憧れるようなイケメンなんだ……。

また自信がなくなって俯くと、美女ランキング1位で皆に囲まれていた鈴花が、いつの間にか戻ってきていた。

「また余計なこと考えてるでしょ？
それより先輩の記事、自分で彼女ありって書いたんだから、ちゃんと自信持ちなよ」

いつも励ましてくれる友達に感謝の気持ちで、「ありがと」と返事する。
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