春学恋愛部
放課後。海斗の家。

「お邪魔しまーす」
「誰もいねーよ」
「ご両親は?お仕事ですか?」
「ここ、俺1人。座れば?」

いつもの面倒くさそうな態度の海斗。

ブラウンでまとめた高級そうな家具に、片付いたキッチン。テーブルの上には、ラップがかけられたおかずが置いてある。

「美味しそうですね~、お母さん、料理上手ですね」
「それ作ったの、お手伝いさん」

今度はぶっきらぼうな発言。

あ、また地雷踏んじゃったかな……と柚果は心の中で呟く。

海斗は、家や家族のことは話したがらない。
それはずっと変わらない。
言葉に詰まっていると海斗がソファに腰かけ、柚果は顔を覗き込まれた。

(ち、近い……)
柚果の心臓が跳ねる。

「緊張してんの?」

「ひゃいっ」

(あ、声が裏返った。恥ずかしい…)

「ぷ…」
笑ったかと思うと、すっと真顔になって海斗は柚果にキスした。
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