春学恋愛部
大泣きしながら、柚果は河川敷を歩いていた。人目なんか気にしていられない。

すれ違う人が怪訝な顔で、柚果の方を盗み見ていく。

「あの、すごい顔してるよ…。
大丈夫?」

声をかけられた柚果が、ぐちゃぐちゃの顔で振り向くと、馬瀬 拓馬が立っていた。

「うわーんっ」

優しい言葉をかけられて、尚更柚果の涙は止まらない。

「うわっ、僕が泣かせてるみたいになっちゃう。とりあえずこっちおいで」
手を引かれて、高架下に連れていかれた。

それから、拓馬は泣き止むまで何も言わずに側にいてくれる。
何だか柚果はホッとした。

「ありがとう」
「君、こないだ取材に来てくれた子でしょ?
どうしたの?話したくないなら、聞かないけど」

拓馬は人を安心させるような雰囲気を持っている。
犬や猫のように。

顔だけでなく、その雰囲気もあって人気があり、イケメンランキング2位になった。
柚果も少し安心して、話してみることにした。
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