春学恋愛部
「動物園って、お前っぽいよな」

「え、どういう意味?」
海斗の言葉に、問い返す柚果。

「何か、ダサくて、でも落ち着くとこ」

「それって褒めてるの?!」
海斗が笑って、大きな手で頭を撫でる。
昨日から、 海斗が優しい……気のせいじゃないよね、と柚果はドキドキしてしまう。

「うち、親父しかいなかったし、動物園に連れて来てもらったことってないんだよな。初めて遠足で来た時は感動したの覚えてる。本当にゾウがいる!とか騒いでんの俺だけだったな」

柚果は、海斗の小さい頃を想像して笑う。

「海斗も、小さい頃は無邪気だったんだね」

「どういう意味だよ」

海斗が柚果を睨みつけた時、動物園の目玉イベント、ライオンのエサやりが始まるとの放送が流れた。
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