春学恋愛部
放課後。

今日は海斗のバイトが休みだから、一緒に帰れる日だ。
ホームルームが終わると、柚果は下駄箱前へと走っていく。

しばらくすると海斗が来て「行くぞ」、と歩き出した。一緒に下校するのも久しぶりで、柚果は嬉しくなる。

「ねぇ、海斗は体育祭、何に出るの?」
柚果が聞くと海斗は面倒くさそうにあくびをしている。

「リレーは間違いないだろ。騎馬戦も出てくれって言われるんじゃねぇ?去年は仮装レースに出さされたっけな…」

「仮装レースって何?」
柚果が尋ねると、海斗は苦笑いした。

「コースの途中に段ボールでできた部屋があって、中にある服に着替えて、早くゴールできた奴が勝ちってやつ」

「へ~、海斗は何着たの?」

「………タキシード…」

それは女子に騒がれただろうなぁ。
海斗は嫌がるだろうけど、見てみたい。
柚果はこっそり想像して笑いを噛み殺す。

「お前、想像してニヤついてんじゃねーよ」

海斗に頭をグリグリされながら柚果は、
今年も出てほしいなぁ、と思っていた。
< 53 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop