春学恋愛部
海斗の部屋で、ソファーに腰かける柚果。

そういえば高校生なのに一人暮らしって、何でなんだろう?
私、海斗のこと知らないことばっかりだ。

そんな事を考えながら柚果が落ち着かない思いでうつ向くと、海斗がカップを持ってキッチンから戻ってきて、ポツリと呟く。

「だせーよな。二位って……MVPも正樹だったしな……」

「え……?全然。海斗すっごく活躍してたし、格好よかったよ。皆そう思ってるよ」

(いつもの海斗らしくない雰囲気は、もしかして落ち込んでたのかな?)

柚果が隣に座った海斗を見上げると、珍しく伏せられた瞳があった。
柚果に目を向けることもない。

「……一番じゃなきゃ、意味ねーよ」

「意味なくなんて、ないよ……?」

「…………」

黙り込む海斗は、いつもの自信過剰な様子じゃなくて、柚果は胸がきゅっと絞められたみたいに苦しくなる。
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