春学恋愛部
退屈しのぎにお茶でも奢ってもらおうと思っていた鈴花だったけれど、正樹といる時間は思ったよりも楽しかった。

「どうして俺のこと、誘ってくれたの?」

「先輩と話してみたいなぁと思ってたんで」
本当はそんなこと思ってもいなかったけれど、思わせぶりな態度をとってしまうのが自分の悪い癖だな、と鈴花は思う。

「先輩はどうして、来てくれたんですか?私のこと、前から知ってました?」

「入学した時から知ってたよ。君は有名だしね。こないだの新聞も……」
頬を染めて言葉を濁す正樹。
美女ランキングのことを言っているのだろう。

「そっか。私有名ですか?でも先輩に知っててもらってたなら、よかった。悪い評判じゃなければいいんですけど」
柔らかく微笑む鈴花に、正樹は釘付けだ。

「時間があったら今度、買い物でも行きませんか?私夏休みは退屈してるんです」
鈴花は誘いを投げ掛け、もちろん正樹が断るはずはなかった。
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