春学恋愛部
「……好きです!付き合って下さい!」

柚果は唇を一文字に結んだ後、まっすぐと海斗を見つめて言った。

「は…?」

「私と、付き合って下さい……」
勢いで何てことを言ってしまったんだ、とパニックになり、最後の方はか細い声になる。

「あはは……はは……何で今?
取材はもういいのかよ!変な奴」

爆笑する海斗に我に返り,
あ、そうだった!取材、ちゃんとしなきゃと新聞部魂を思い出す。

「いえ、それは答えていただきます!
好きな女の子はいますか……?」

「ぷっ、いてもお前じゃないのは確かだな」

「えぇ?それってどういう…。
あ、ってか、私今振られました…?」

海斗は面白がって馬鹿にしたように笑う。
その笑顔は柚果を夢見心地にするには十分で、「あ、冷たそうだと思ったのに、笑うと可愛い……」と呟いてしまう。

「今の心の声?口に出ちゃってるよ」
黙っていた見守っていた鈴花が、笑いを噛み殺しながら柚果に囁いた。

「冷たそうねぇ……」
口の端を上げて、海斗がニヤリとする。

あ、聞かれてた……。柚果は慌てて言い訳をはじめる。
「あの、そういうつもりじゃなくて、先輩、キレイだから。あの…」
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