クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
(誰かを好きだと思ったこともないのに、今更急に……なんて、ねぇ)

 気付けばカクテルグラスが空になっている。

「次はチャイナブルーをください」
「はい、かしこまりました」

 美しい青色のカクテルだと教えられて気になっていたものを頼む。
 すぐに運ばれてきたそれは、イメージしていたよりずっとさわやかなブルーをしていた。

「恋人ってどうやったらできるんでしょう?」
「さて……人によるものだと思いますが、私は妻とバーで出会いましたよ」

 バーテンダーが少し照れた様子で、ほかの客にカクテルを運んでいたあの女性店員に目を向ける。

「だから、子供が大きくなったら私たちもバーをやろうねと言っていたんです。私たちのように誰かの出会いの場になれたら嬉しいですから」
「わあ、素敵なお話ですね」

 せっかくならもっと話を聞かせてもらおうと身を乗り出したとき、すぐ隣に男性が座った。

「うんうん、本当にいい話ですね」

 見知らぬ男性は今の話を聞いていたらしい。一緒になって相づちを打つ。

「僕も今、恋人募集中だったりするんです。よかったら一緒に飲みませんか?」
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