クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「ごっ、ごめんなさい」
「大丈夫か?」
「っ、はい」
きゅうう、と胸がいっぱいになる。
(夏久さんの匂いがする)
抱き締められたわけじゃない。
だけど私はこの一瞬で、愛された夜を思い出してしまった。
(好きになってほしいって思うのは、今日でやめなきゃいけないのに)
このまま腕の中にいたい気持ちを必死に押し殺し、慎重に夏久さんから離れる。
「気を付けてくれよ」
「すみません……。赤ちゃんになにかあったら大変ですもんね」
「……俺は君の話をしてるんだ」
(え……)
そっと夏久さんが私の腰を抱く。
アトラクションの出口へ向かうまでの間、また転んでしまわないよう、ずっとそうしてくれていた。
(さっきのってどういう意味?)
次を求めて歩き出しながら、また手を繋ぐだけに落ち着いた夏久さんを盗み見る。
(私を心配してくれた……?)
胸が痛くて苦しい。
(……これってちょっとひどいんじゃないかな)
痛みが行き場をなくしてさまよっている。
切なさと悲しさに、少しだけ憤りが混ざった。
(期待するなって言うくせに、期待したくなることばっかり。……なのに、嫌いになれない)
言葉と行動がともなっていなくて、夏久さんの真意がわからなくなる。
もしかしたらという願いが入り混じるせいで、余計に。
「大丈夫か?」
「っ、はい」
きゅうう、と胸がいっぱいになる。
(夏久さんの匂いがする)
抱き締められたわけじゃない。
だけど私はこの一瞬で、愛された夜を思い出してしまった。
(好きになってほしいって思うのは、今日でやめなきゃいけないのに)
このまま腕の中にいたい気持ちを必死に押し殺し、慎重に夏久さんから離れる。
「気を付けてくれよ」
「すみません……。赤ちゃんになにかあったら大変ですもんね」
「……俺は君の話をしてるんだ」
(え……)
そっと夏久さんが私の腰を抱く。
アトラクションの出口へ向かうまでの間、また転んでしまわないよう、ずっとそうしてくれていた。
(さっきのってどういう意味?)
次を求めて歩き出しながら、また手を繋ぐだけに落ち着いた夏久さんを盗み見る。
(私を心配してくれた……?)
胸が痛くて苦しい。
(……これってちょっとひどいんじゃないかな)
痛みが行き場をなくしてさまよっている。
切なさと悲しさに、少しだけ憤りが混ざった。
(期待するなって言うくせに、期待したくなることばっかり。……なのに、嫌いになれない)
言葉と行動がともなっていなくて、夏久さんの真意がわからなくなる。
もしかしたらという願いが入り混じるせいで、余計に。