クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
 私だけ、夏久さんを好きだと思っている。
 そのせいで“好きだと思ってもらいたい”という目標が宙に浮いていた。

「いつか、子供を連れてこういう場所に来てみたいな。君に似たら行動力のある子になりそうだし」

 水上アスレチックを見ながら夏久さんが言う。

「そんなに行動力なんてありませんよ」
「夜遊びをしにひとりでバーへ行くのに? ああ、あと遊園地でも俺より元気に歩き回ってたな」
「あれは……そこまで言うほどのことじゃないです」
「これでも最初の印象は深窓の令嬢だったんだぞ」
「今はなんだと思ってるんですか?」
「ノーコメント」

 くっと笑う顔にきゅんとしてしまった自分が悔しい。
 私ばかり好きだということを突き付けられた気がする。

「私だって、夏久さんを初めて見たときは――」

 言いかけたとき、不意に夏久さんが足を止めた。
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