クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
(じゃあ、本当だったら夏久さんと結婚していたのは……)
「デキちゃった結婚だって聞いたけどほんとみたいね」
百瀬さんの視線が私のお腹に向く。
咄嗟にそこを手で庇ってしまった。
「親に決められた結婚なんてしないって言ってたのに、結局誰かの意思で将来を決められちゃったわけだ」
「おい、百瀬」
「そういう星のもとに生まれちゃったのかもね。かわいそ」
――私が夏久さんから奪ってしまったものについて、今まできちんと考えたことがあっただろうか?
指先が冷えていくのを感じながら、一歩後ずさる。
「雪乃さん?」
私の動揺に夏久さんが気付いてくれる。
でも、そういう優しさに今まで甘えすぎてしまった。
「……っ、ごめんなさい……!」
「雪乃さん!」
わき目もふらず駆け出す。
背後から夏久さんが呼んでくれたけれど、振り返るわけにはいかない。
(婚約者のこと、初めて聞いた。それは……私に言えないことだったからじゃないの?)
追いかけてこないで、と願って必死に逃げる。
どこへ逃げるのかは考えていなかった。
ただ“被害者”の夏久さんから、今はひたすら離れたい。
「デキちゃった結婚だって聞いたけどほんとみたいね」
百瀬さんの視線が私のお腹に向く。
咄嗟にそこを手で庇ってしまった。
「親に決められた結婚なんてしないって言ってたのに、結局誰かの意思で将来を決められちゃったわけだ」
「おい、百瀬」
「そういう星のもとに生まれちゃったのかもね。かわいそ」
――私が夏久さんから奪ってしまったものについて、今まできちんと考えたことがあっただろうか?
指先が冷えていくのを感じながら、一歩後ずさる。
「雪乃さん?」
私の動揺に夏久さんが気付いてくれる。
でも、そういう優しさに今まで甘えすぎてしまった。
「……っ、ごめんなさい……!」
「雪乃さん!」
わき目もふらず駆け出す。
背後から夏久さんが呼んでくれたけれど、振り返るわけにはいかない。
(婚約者のこと、初めて聞いた。それは……私に言えないことだったからじゃないの?)
追いかけてこないで、と願って必死に逃げる。
どこへ逃げるのかは考えていなかった。
ただ“被害者”の夏久さんから、今はひたすら離れたい。