クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
夏久さんが私の顔を覗き込んでくる。
「すまない、また君を困らせてるな」
側にいてほしい――。
あまりにもさらりと言われたせいで、なにを言われたのかが理解できなかった。
欲しかった言葉だと知ってなお、別世界の言葉のように思える。
「困ってないです。側にいてほしいと思われていたなんて知らなかっただけで……」
「伝えてきたつもりだったんだけどな」
どきどきと胸が高鳴っている。
それに、顔が熱い。
「側にいたいと思えるような相手じゃなかったら、結婚なんかできないだろ」
「えっ。でも、そんなこと一度も……」
「え、言ってなかったか?」
お互いに混乱しているのを、私も夏久さんもくみ取った。
しばらく見つめ合って、一度離れる。
すとん、と夏久さんがベッド脇の椅子に腰を下ろした。
「いや、たしかに最初の態度はいろいろ誤解させたと思う。でも、君だから結婚したんだって言ったはず……」
「ええと……」
言われたような、言われていないような気がする。
首を傾げていると、がっくりと肩を落とすのが見えた。
「……百瀬の言った通りだったな」
「百瀬さん?」
その名前を聞いた瞬間、ずきんと胸が痛んだ。
「ああ」
顔を上げた夏久さんの口元に皮肉げな笑みが浮かんでいる。
「ちゃんと言うべきことを言ってるのかって叱られた」
「叱られてたんですか……」
「そういう人なんだ」
苦笑すると、夏久さんはちらりと時計を見た。
もう夕方になるけれど、まだ面会終了時間ではないだろう。
「うまく話せないかもしれないんだが、聞いてくれるか? 君がいない間のことも含めて、全部」
「すまない、また君を困らせてるな」
側にいてほしい――。
あまりにもさらりと言われたせいで、なにを言われたのかが理解できなかった。
欲しかった言葉だと知ってなお、別世界の言葉のように思える。
「困ってないです。側にいてほしいと思われていたなんて知らなかっただけで……」
「伝えてきたつもりだったんだけどな」
どきどきと胸が高鳴っている。
それに、顔が熱い。
「側にいたいと思えるような相手じゃなかったら、結婚なんかできないだろ」
「えっ。でも、そんなこと一度も……」
「え、言ってなかったか?」
お互いに混乱しているのを、私も夏久さんもくみ取った。
しばらく見つめ合って、一度離れる。
すとん、と夏久さんがベッド脇の椅子に腰を下ろした。
「いや、たしかに最初の態度はいろいろ誤解させたと思う。でも、君だから結婚したんだって言ったはず……」
「ええと……」
言われたような、言われていないような気がする。
首を傾げていると、がっくりと肩を落とすのが見えた。
「……百瀬の言った通りだったな」
「百瀬さん?」
その名前を聞いた瞬間、ずきんと胸が痛んだ。
「ああ」
顔を上げた夏久さんの口元に皮肉げな笑みが浮かんでいる。
「ちゃんと言うべきことを言ってるのかって叱られた」
「叱られてたんですか……」
「そういう人なんだ」
苦笑すると、夏久さんはちらりと時計を見た。
もう夕方になるけれど、まだ面会終了時間ではないだろう。
「うまく話せないかもしれないんだが、聞いてくれるか? 君がいない間のことも含めて、全部」