クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
 店の奥の席へ座り、また懐かしい気持ちになる。ここは夏久さんが私を危険から引き離したときに連れてきてくれた席だった。

 さすがにほぼ一年近く来ていないということもあって、私たちの顔は覚えられていない。それでもここが思い出の場所で、すべての始まりの場所だということに変わりはなかった。

 あのときと違うのは私の気持ちと、夏久さんとの関係。そして私たちの間に大切な宝物がいるということ。

「お父さんは大丈夫かな。彩奈が泣いていないといいけど」

「きっと大丈夫だよ。空気の読めるいい子だから」

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