クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
 冗談っぽく言ったつもりの私に、夏久さんも茶目っ気のある笑顔で応えてくれる。相変わらず魅力的な顔で笑ってくれる人だな、なんて思ってしまった。

「今日はいっぱい甘やかしてください。そうしたら許します」

「なんだ、そんな簡単なことでいいのか。今日だけじゃなくてこれから毎日甘やかすよ」

「どんなふうに?」

「ここで言わせるのか?」

「えっ」

「人前じゃ言えないようなことをたくさんする、って言ったらどうする?」

 テーブルの上に置いていた手を、夏久さんが意味深になぞる。その指から与えられる小さな刺激にどきりとしてしまった。

「……夏久さんは、ときどきちょっとえっちだと思います」

「え、そうか?」

「恥ずかしいんですよ、私も……」

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