クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「……怒ってますよ、私」

「雪乃さんは本当に嘘を吐くのが下手だよな」

 握っていた手が離れ、軽く顎を持ち上げられた。うつむいていた顔をさらされてしまい、咄嗟に逸らそうとするももう遅い。

「かわいいって言われると、いつも赤くなる。だからまたかわいいって言いたくなるんだよな」

「し、知りません」

 小さな子供でもないのだから、かわいいなんて言われる機会はほとんどない。それなのに夏久さんは毎日のように言ってくる。私の反応を見るためにやっていることはわかっていたから、とても意地悪な人だという気持ちにならざるをえない。

「夏久さんは意地悪です。私が嫌がることをしますから」

「本当に嫌だと思ってるならやらない。俺にかわいいって褒められるのは嫌か?」

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