クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
 だからそういう質問が意地悪なんだと言いたくなる。嫌だったらこんなにうれしく思うはずがないのだ。

「……意地悪」

「やっぱりかわいい」

「……ばか」

「こら、そういうことを言うんじゃない」

 むに、と頬を軽く引っ張られた。そんな手つきでさえ甘くて優しくて、胸がどきどきしてしまう。

 そんなふうに話していると、注文した飲み物が運ばれてきた。目の前に置かれたグラスを手に取り、軽く掲げる。

「乾杯するか」

「はい」

 グラスの縁をそっと重ねて乾杯し、ドリンクを口に運ぶ。甘くてすっきりしたお酒だった。ほっと息を吐き、グラスについた水滴を目で追う。

「あのとき飲んだお酒よりおいしい気がします」

「俺も酔いそうだ」

「ノンアルなのに?」

「雪乃さんがいるせいかな」

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