クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
 さすがに、お店をすぐ出るようなことにはならない。雑談をしながらノンアルのカクテルを楽しみ、彩奈のことだけでなくお互いのこともたくさん話した。

 普段から一緒にいるはずなのに話が尽きなくて、このままいくらでも話していられそうになる。ときどき楽しそうに笑う夏久さんを見て、私もこのあとのことを期待してしまった。

 やがて周りの客が減り、店内が寂しくなり始める。

 飲んでいたカクテルを空け、夏久さんの手を軽く引いた。

「そろそろ……出たい、です」

「……そっちから誘われると思わなかったな。てっきり俺が我慢できなくなるんだと思ってたのに」

 そう言いながら、夏久さんが私に顔を寄せる。

「じゃあ、出ようか」



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