クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
洗剤の香りに夏久さんの香りが混ざっている。
ほとんど無意識にシャツをたぐり寄せ、深呼吸していた。
どきどきと鼓動が速くなっていく。
(あの夜、すごく落ち着く匂いだなって思った。胸がぎゅってして、息ができなくなるくらい苦しくなって……)
抱き締めてくれた腕のぬくもりまで思い出してしまう。
私を呼ぶ囁きも鮮明によみがえった。
(あんな幸せな時間が一生続けばいいって思ったのに……)
ぎゅう、とシャツを抱き締める。
今は私が一方的にこうするだけで、それ以上のことはなにもない。
結婚してから夏久さんが私に触れたのはたった二回だけ。
それも、私を慰めるためのものだった。
(……また抱き締めてもらいたいな)
すん、と鼻を鳴らす。
洗い立てのシャツはさすがに夏久さんの香りが遠い。
なのに、胸が苦しい。愛おしさが募って痛みさえ感じる。
(どんなふうに思われてても、大切にしている相手が子供だけでも、夏久さんの奥さんになれて嬉しい)
誤解を解くこと、それから妻として認めてもらうことが私の目標だった。
そうしたかった理由をやっと頭で理解する。
(夏久さんが好き。私を好きになってほしい――)
ほとんど無意識にシャツをたぐり寄せ、深呼吸していた。
どきどきと鼓動が速くなっていく。
(あの夜、すごく落ち着く匂いだなって思った。胸がぎゅってして、息ができなくなるくらい苦しくなって……)
抱き締めてくれた腕のぬくもりまで思い出してしまう。
私を呼ぶ囁きも鮮明によみがえった。
(あんな幸せな時間が一生続けばいいって思ったのに……)
ぎゅう、とシャツを抱き締める。
今は私が一方的にこうするだけで、それ以上のことはなにもない。
結婚してから夏久さんが私に触れたのはたった二回だけ。
それも、私を慰めるためのものだった。
(……また抱き締めてもらいたいな)
すん、と鼻を鳴らす。
洗い立てのシャツはさすがに夏久さんの香りが遠い。
なのに、胸が苦しい。愛おしさが募って痛みさえ感じる。
(どんなふうに思われてても、大切にしている相手が子供だけでも、夏久さんの奥さんになれて嬉しい)
誤解を解くこと、それから妻として認めてもらうことが私の目標だった。
そうしたかった理由をやっと頭で理解する。
(夏久さんが好き。私を好きになってほしい――)