クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
・少しの希望
今日は定期健診の日だった。
同行した夏久さんは、やっぱり私以上に真剣に先生の話を聞いている。
「問題なし、ですね。元気に育っていますよ」
「そうですか……。よかったです」
少し大きくなり始めたお腹を、夏久さんが優しい目で見つめてくる。
そのことにきゅんとしたけれど、すぐに考え直した。
見つめられているのは子供であって、私じゃない。
「食事には気を付けているんですが、これからほかにするべきことなどありますか?」
「そう今までの生活と大きく変える必要はありませんよ」
相変わらず夏久さんは私の代わりに話をしてしまう。
おかげで私から先生に聞くことがなにもない。
「ああ、ひとつだけ」
「なんですか?」
夏久さんが心配そうに身を乗り出す。
子供に関しては本当に大切に思ってくれているのだと、そういう態度から感じ取れた。