クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「あの……?」
「どこか行くか」
ぴったり同じタイミングで声が重なってしまった。
あんまりにも揃いすぎて、少しだけ笑ってしまう。
驚いたことに、夏久さんもふっと頬を緩ませた。
もっとも、私がそれに気付いた瞬間、真顔に戻ってしまったけれど。
(笑うタイミングが同じなのは、前と一緒だ)
変わってしまったものの方が多いからこそ、変わっていないことを見つけて嬉しくなる。
「すみません、遮ってしまって。なんですか?」
「……いや、少し遠出でもしたいかと思って」
「でも、お仕事が……」
「今日はもういい」
(それはどうして?)
私のために時間を作ろうとしてくれている、なんて希望は抱かない。
「この中で行きたい場所は?」
夏久さんが携帯電話を差し出してくる。
画面に映っているのは、最初からインストールされているメモアプリだった。
以前テレビで紹介されていた公園に、ここから車で一時間ほどの海岸。登山初心者におすすめの山や、澄んだ水と川魚が有名な川辺のキャンプ場など、散歩にちょうどよさそうな場所から、がっつりアウトドアを行うような場所までリストアップされている。
「どこか行くか」
ぴったり同じタイミングで声が重なってしまった。
あんまりにも揃いすぎて、少しだけ笑ってしまう。
驚いたことに、夏久さんもふっと頬を緩ませた。
もっとも、私がそれに気付いた瞬間、真顔に戻ってしまったけれど。
(笑うタイミングが同じなのは、前と一緒だ)
変わってしまったものの方が多いからこそ、変わっていないことを見つけて嬉しくなる。
「すみません、遮ってしまって。なんですか?」
「……いや、少し遠出でもしたいかと思って」
「でも、お仕事が……」
「今日はもういい」
(それはどうして?)
私のために時間を作ろうとしてくれている、なんて希望は抱かない。
「この中で行きたい場所は?」
夏久さんが携帯電話を差し出してくる。
画面に映っているのは、最初からインストールされているメモアプリだった。
以前テレビで紹介されていた公園に、ここから車で一時間ほどの海岸。登山初心者におすすめの山や、澄んだ水と川魚が有名な川辺のキャンプ場など、散歩にちょうどよさそうな場所から、がっつりアウトドアを行うような場所までリストアップされている。