“義理チョコレート”



「てか、俺、チョコレート苦手なのになあ。どうするか……」

そう。それだ。みんな彼にチョコレートを渡す。でも彼はチョコレートが苦手なのだ。いままさに一緒に帰っている、そんな感じでなかよしこよしの私からしたら、絶対にしないミス。

彼に恋愛的感情をもっていたら、絶対的にみんなしない、ミス。“義理チョコレート”。

「やっぱりさ、これ、義理だよね」
「……」

「言えよほら。言われない方が傷つく」
「義理だね」

「……」
「傷ついてるよね?」

うっせ。彼は笑った。あぁ、ほんと、そういうとこだよね。


< 3 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop