“義理チョコレート”
「てか、俺、チョコレート苦手なのになあ。どうするか……」
そう。それだ。みんな彼にチョコレートを渡す。でも彼はチョコレートが苦手なのだ。いままさに一緒に帰っている、そんな感じでなかよしこよしの私からしたら、絶対にしないミス。
彼に恋愛的感情をもっていたら、絶対的にみんなしない、ミス。“義理チョコレート”。
「やっぱりさ、これ、義理だよね」
「……」
「言えよほら。言われない方が傷つく」
「義理だね」
「……」
「傷ついてるよね?」
うっせ。彼は笑った。あぁ、ほんと、そういうとこだよね。