“義理チョコレート”







「……なんでここに?」
「渡そうかと思って」

「何を?」
「誕プレ」

チャイムを鳴らして、さっきわかれたばっかりなのに外に連れ出して、深呼吸をして、それから。

「と、気持ち」

あのね。って、くちを開く。

チョコレートが苦手なの、知ってるよ。
自転車がパンクした私に合わせて、一緒に歩いて帰ってくれる優しさも、知ってるよ。
朝はきみは部活があるからはやく家を出る、その時、すごくはやく自転車を漕ぐことも、知ってるよ。

ありがとうって、思ってる。


< 6 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop