“義理チョコレート”
*
「……なんでここに?」
「渡そうかと思って」
「何を?」
「誕プレ」
チャイムを鳴らして、さっきわかれたばっかりなのに外に連れ出して、深呼吸をして、それから。
「と、気持ち」
あのね。って、くちを開く。
チョコレートが苦手なの、知ってるよ。
自転車がパンクした私に合わせて、一緒に歩いて帰ってくれる優しさも、知ってるよ。
朝はきみは部活があるからはやく家を出る、その時、すごくはやく自転車を漕ぐことも、知ってるよ。
ありがとうって、思ってる。