ももだろう
おばあさんは、そのももをよーく見ました。

すると、桃の側面に切れ目があることがわかりました。

なるほどるほど、これは、ここ一帯の地域の異常気象のせいでももがおかしなことになっているのだな、と考えました。

ももに切れ目があるなんて、いかにも”開けてくれ”と言わんばかりの形相?である。

さて、マカダミアナッツが硬くて硬くて中をこじ開けられないように、この”もも”も同様に中を”割って”開けるということなのだろうと、長年生きているおばあちゃんは思ったそうな。

というか、おばあちゃん、マカダミアナッツを知っているのか。

まあいい。

というか、マカダミアナッツがその当時あるのかどうかも不明である。

それはいいとして、切れ目がある状態で薪割りに使っている斧を取り出し、丁度その割れ目にそってその斧をよいせと取り出し、おばあちゃん。

「えいやっ」

の掛け声とともにそのももに斧を振りかざした。

が、巨神であるおじいちゃんの力でも割れなかったそのもも、いかに硬いのだろうか、全く割れず斧がびよーんと音を立て、斧がどっかへ飛んで行った。

そして、川にドボンと音を立て、落ちてしまいましたとさ。

しかしてそのももは割れず、ふとおばあちゃん、そのももを見るにつけ、これは自力では割れぬ、どうすればいいのかと目を疑った次の瞬間、ももが突然割れ、中から大きな大きな子ども、ならぬ、小さな小さなカプセル状のものが出てきましたとさ。

ももは実はマカダミアナッツだった事はおばあちゃんの視力とそのボケで全く気付かなかったので、ここはこれでよしとしましょうと、おじいちゃんが思ったのであった?
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